カラフトルリシジミ
シジミ科の蝶。
間違っても、珍しい貝のことではありません!
日本では、知床山系・根室半島・然別湖など、北海道の高山帯や低地帯では湿原などに生息している、北海道固有の蝶。
体長は2センチ程度で、オスの翅(はね)は青紫色で黒い縁取りがついており、メスの翅はこげ茶っぽく、胴体付近がやや青みがかっています。
オス・メスともに、翅の裏側は淡い灰色で、翅の縁に幾つかの黒い斑点があり、一番外側には橙色の斑点がついており、翅を閉じている時に確認できます。
ぱっと見は、確かに青紫のオスの方が綺麗ですが、じっと見ていると、いやいやメスも渋いじゃないかと思えてきますし、翅についた斑点も蛾を連想させていたはずなのに、よくよくみると綺麗なことに驚きます。虫が苦手な人も、目にする事のできる幸運が訪れたら、騙されたと思って是非見てみて下さい。
幼虫の頃は、コケモモ・ガンコウラン(地面を這うように成長し、ブルーベリ—みたいな実をつけます)・クロマメノキ(スズランのように垂れ下がる白い花を咲かせ、こちらもブルーベリーのような実をつけます)で成長します。
どの、植物もツツジ科の植物で、かわいい実をつけます。
…キャベツを食べる蝶が可愛くないわけではありませんが、コケモモを食べる蝶だなんて、余計に特別感と可愛らしさと、妙な羨ましさまで感じてきます。
さて、話を戻しまして、それらの樹で成長し、冬を越し、7月頃に成虫になります。風が弱く穏やかな気候の時に元気に飛び回りますが、日が陰ると飛ぶのを止めます。
これは、高山蝶にはよくみられる特徴だそうです。
では、「陰った時がシャッターチャンスもしくは、捕まえるチャンス!」などと思うかもしれませんが、安易に手を出してはいけません。
国の天然記念物のみならず、レッドデータリストにも登録されている超希少種ですので、採取は禁止されています。
写真を撮るのはいいですが、傷つけないように注意しましょう。
また、カラフトルリシジミは、氷河期からその姿を変えていない生き物と言われていて、名前に冠してある樺太と北海道が、陸続きであった頃に、シベリアの方から南下しきて、そのまま生息するようになったと考えられています。
見た目だけでなく、彼らにまつわるエピソードもまた神秘的な生き物なのです。