「場所・自然」カテゴリーアーカイブ

羅臼の間欠泉

「天然記念物」とは、動物、植物、地質・鉱物などの自然物に関する記念物のことで、日本では文化財保護法や各地方自治体の文化財保護条例に基づき指定されています。
日本の各地に天然記念物に指定されている場所や物があり、天然記念物に指定されているからには一度は見てみたいものや訪れてみたい場所ばかりだったりします。

そして、日本でも北海道にも天然記念物に指定されている場所や物がたくさんあり、そのひとつに知床の間欠泉「羅臼間欠泉」があります。

「間欠泉(かんけつせん)」とは、一定周期で水蒸気や熱湯を噴出する温泉のことを言います。
世界的には、アイスランドやアメリカのイエローストーンの間欠泉が有名ですが、日本にだって世界に誇れる間欠泉があるということで、そのひとつが「羅臼間欠泉」。

羅臼間欠泉は、羅臼町市街地から知床方面へ3キロくらい進んだところにあります。
1962年に温泉ボーリング中に噴出し、当時は1時間おきに約15メートルもの高さに噴出するものと、15分おきに約10メートルの高さに噴出するものの2本がありました。ボーリング管の中に溜まっている地下水が、とっても高い地熱によって温められることによって沸騰したものが噴き出してきていたのです。

ですが、間欠泉は寿命が短くて、全国でも数が少ないと言われています。羅臼の間欠泉も例外ではなく、2008年を最期に一時期は噴出が途絶えていたのですが、2010年に再び噴出をはじめ、復活を果たしたのです!
一度は途絶えたものが再び復活するなんて、自然の力というのは、人の想像をはるかに超えていて、すさまじいものを感じずにはいられません。だからこそ、惹かれるものがあり、“見てみたい”、“触れてみたい”と思うのかもしれませんね( ´艸`)

現在では45分~2時間くらいの間隔で噴出しています。時間の幅は大きいのですが、運がよければ着いてすぐに地面から噴き出してくる姿を見ることができるし、羅臼ビジターセンターに問い合わせると時間の間隔を教えてもらえます。
たくさんの雪が降る冬は、スノーシューが必須となるのですが、間欠泉の観光に限って羅臼ビジターセンターで無料で借りることができるので、冬場に訪れる際には利用すると便利ですよ^^

羅臼の間欠泉を訪れる際にもとっても便利な“羅臼ビジターセンター”!
ぜひとも利用しましょう^^

そうそう、間欠泉の入り口にはノートが置いてあって、間欠泉の噴出を目撃できた人が時刻を記入しているので、チェックしてみるのもいいかも( ´艸`)

レブンアツモリソウ群生地

今現在、国の天然記念物に指定されている動物や植物、地質・鉱物など自然に関するものは1000件以上あります。けっこうたくさんあることにもビックリなんですが、それだけ貴重で守っていかないと絶滅の可能性のある動植物などが多いってことなのかな?

国の天然記念物だけでもたくさんあるのに、地方自治体の指定する天然記念物も合わせると、ほんとにたくさんの動物や植物、地質・鉱物などが指定されていることになります。
国でも地方自治体でもどちらの指定であったとしても、大切にして守っていかないといけないことに変わりはありません。大切にするのはいいことだと思うのですが、そうしないと絶滅してしまうかもしれないというのはなんだか悲しものがありますね・・・^^;

これまでも“北海道”の天然記念物にしぼってご紹介してきたのにましたが、こうやってご紹介していくことで、天然記念物を知ってもらって理解を深めてもらえれば、紹介している甲斐もあるというもの!
ということで、まだまだご紹介していきますよ~!今回は「レブンアツモリソウ群生地」で~す^^

「レブンアツモリソウ群生地」は、レブンアツモリソウの最大の生育地で、北海道の礼文島北部の鉄府地区がそうです。

「レブンアツモリソウ」は、ラン科アツモリソウ属の一種で、母種のアツモリソウがアジアからヨーロッパにかけて広く分布しているのですが、日本では北海道の礼文島でしか見ることができません。とっても希少な花で、礼文島固有の植物なんですよ!
レブンアツモリソウ

そんなとっても希少な花だからこそ、盗られてしまうことが多々あり、激減してしまっています。悪意を持って盗っても、軽い気持ちでちょっと摘んでしまっても、どちらもいけないことです。そのせいで絶滅の危機にまでなってしまっているのですから・・・。

1994年6月3日に群生地一帯は北海道の天然記念物に指定され、環境省レッドデータブックの絶滅危惧種にも指定されていて、礼文島や北海道だけでなく、国も一体となって保護と増殖に努めています。

礼文島の群生地は、盗掘防止のため監視員が常駐していて、通年開放されているわけではなく、開花時期の5月下旬から6月上旬の期間限定で入場することができます。
保護区内の柵で囲った遊歩道のみ入ることができて、15分~20分くらいでまわることができるのですが、誰かが植えて育てたのではく自生しているのだと思うと感動の景色!

過去には絶滅してしまって天然記念物から解除された例もあります。レブンアツモリソウ群生地がそうなってしまわないように、大切に守っていきたいですね^^

雨竜沼高層湿原帯

天然記念物に指定されている場所や動物、植物などがたくさんあり、いろいろとご紹介しているのですが、今回は「雨竜沼高層湿原帯(うりゅうぬまこうそうしつげんたい)」です!

「雨竜沼高層湿原帯」は、北海道にある国定公園“暑寒別天売焼尻国定公園(しょかんべつてうりやぎしりこくていこうえん)”の主要景勝地で、日本有数の山岳型高層湿原帯でもあります。
暑寒別火山の東中腹、標高約850~900mにある東西約4km、南北約2kmにわたって広がる湿原で、面積は100haくらいあります。例年6月中旬頃に山開きが行われ、10月初旬には閉鎖されています。

とーっても貴重な湿原で、1964年10月に“雨竜沼高層湿原帯”として北海道の天然記念物に指定され、1990年には暑寒別岳などともに暑寒別天売焼尻国定公園に指定、2005年11月には624ha が“ラムサール条約登録指定湿地”として登録されました。

湿原全体を見る場所として湿原を半周したところの標高1491mの南暑寒岳への登山道を少し登ったところに、広大な湿原全体を見下ろすことができる湿原展望台があり、展望台からの景色は絶景!

春の雪解けから秋にかけて、ミズバショウや、ショウジョウバカマ、エゾノリュウキンカ、シナノキンバイ、エゾノシモツケソウ、ハクサンチドリ、エゾノサワアザミなどの、200種以上の花や植物を観察することができる♪
7月はエゾカンゾウがオレンジ色に咲いて湿原を彩るし、8月上旬までの短い夏の間には一帯をたくさんの花が鮮やかに彩り、たくさんの高山植物による雄大な景色は、多くの登山者を惹きつけ「北海道の尾瀬」とも言われているんですよ!

さまざまな植物やきれいな景色を見ることができるので、たくさんの人たちが訪れている人気スポット!

なんですが、気をつけてほしいことや問題なんかもあったりします^^;

まずは、エゾシカ、エゾシマリス、エゾユキウサギなどさまざまな動物を見ることもできて、かわいい動物たちには心癒されるのですが、できれば会いたくないヒグマも出てきたりします。なので、早朝や夕暮れ、濃霧など薄暗いときの入山は危なかったりするので避けたほうがいいかも^^;

そして、登山者の踏みつけによる湿原植生の荒廃や裸地化、登山者によって運ばれる非湿原植物の混生、湿原の泥炭層にできる池沼の枯渇や水漏れ、登山者の投げ捨てたゴミや残飯による景観阻害などなど他にもたくさんの問題があります。

ちょっとしたことが植物を枯らしてしまったり、景観を変えてしまうことにつながったりするので、マナーを守って訪れるようにしたいですね・・・。

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野幌原始林

全国に存在する“天然記念物”
そして、一言で“天然記念物”といっても、動物に・・・鳥に・・山に・・とたくさんのジャンルがあります。

その中でも今回は“北海道の天然記念物”という事ですが、皆さん!!そもそも“天然記念物”とは何なのか詳しく知っていますか^^?

まず始めに、天然記念物とは“文化財保護法”や“地方自治体の条例”の条例によって定められている動物や植物、地質、鉱物などの自然物のことで、「史蹟名勝天然記念物保存法」というものが1919年に発布されて以降、学術上貴重な自然物が保護されてきました。

北海道では、“日本一大きな湿原”とされている「釧路湿原」や蝦夷富士とも呼ばれている「羊蹄山」をはじめ、大空町の「女満別湿生植物群落」根室市の「落石岬サカイツツジ自生地」など、約32種類のものが天然記念物の指定を受けているのです。その内の15件が動物なんだそうですよ~。
意外と沢山“天然記念物”があるでしょ^^?

そんな中でも今回ピックアップするのは、“特別天然記念物”の指定を受けている「野幌原始林」

「野幌原始林」とは、札幌市と江別市、北広島市に跨る“野幌丘陵”の一角、北広島市西の里に広がっています。このスポットは、1921年(大正10年)に、天然記念物の指定を受けますが、“第二次大戦中”に軍用材として伐採が進んだことを受け、終戦から7年後の1952年(昭和27年)に、“希有の森林植物相”として「特別天然記念物」に指定されました。

戦争によって天然記念物になるはずだったものが、更に失われかけたために、本当に貴重なものとなってしまったわけですね・・・。
現在では、戦争というものが日本から無くなっています。その代わりにといえばおかしくなるかもしれませんが、深刻化している“自然災害”が私自身、最も怖いと思っているのです。

毎年夏~秋頃に訪れる“台風”
台風は、主に“沖縄”から九州・四国~関東へと抜けていくルートをたどることが多いのですが、最近それもわからなくなっていますよね・・・。

いつも北海道に台風が来る頃には、温帯低気圧に変わっていて、ほとんど被害を与えなかったのが、今ではそれも危うくなっています。
農作物や乳製品を多く全国へと出荷している北海道に、大きな被害が起こってしまったら、道民ではない私たちにも悪影響が!!自然のことなので、防ぎようがありませんが、少しでも被害を少なくするためには何か出来ると思うので、たくさんある天然記念物も無くなることのないように守っていってほしいものです。

自然の神秘!「当麻鍾乳洞」

今回は天然記念物に指定されている素敵な場所をご紹介しようと思います。その素敵な場所とは、「当麻鍾乳洞」です。

「当麻鍾乳洞(とうましょうにゅうどう)」は北海道上川郡当麻町の、JR石北本線当麻駅からタクシーで約15分のところにある鍾乳洞で、中の様子が龍が寝そべっているように見えたことから発見当時は「蝦夷蟠龍洞(えぞばんりゅうどう)」と名付けられていました。

発見されたのは1957年1月13日。全長約135m、高さ約7~8mと規模は小さいながら鍾乳石の質の良さで1961年3月17日に北海道指定天然記念物に指定されました。
学術的にきわめて貴重な鍾乳洞として知られていて、はるか1億5千万年前のジュラ紀から、気の遠くなるような時間をかけて地下水の溶蝕作用がつくりあげた石灰洞窟です。

当麻鍾乳洞の入り口は、石垣が龍の鱗のように連なっています。そんな入り口を進んで行くと、中はひんやりとしていて夏でも涼しく、むしろ少し寒いくらいなのでなにか1枚羽織っておくほうがいいかもしれません。
また、中は薄暗く、湿っているので、滑らないよう足もとに十分気を付けて!階段もあるし、滑りやすいし、歩きやすい靴を履いておくほうがいいかも。
鍾乳石

鍾乳洞の内部は5つの部屋に区切られていて、それぞれが狭い通路でつなぎあわさっています。さまざまな形状や大きさをした鍾乳石がたくさんありますが、どれも不純物が少なく透明度の高い方解石結晶なのが特徴です。
ところどころに、照らされている光が鍾乳石を演出してくれていて、なんとも神秘的な雰囲気を作り出しています。
内部

当麻鍾乳洞の鍾乳石の種類は、霜柱のようにぎっしりと柱状になったながれ石、氷のつららのようになったつらら石、菊の花の形になったアンソダイトなどがあり、いろいろな種類の鍾乳石を見ることができます。
なかには、直径約5mmほどで根本から先端まで直線状に伸びる鍾乳管などもあり、この鍾乳洞ではマカロニ鍾乳石と紹介されています。鍾乳石が3cm成長するのに約200年の歳月が必要だと言われているんですよ。ということは、たった5mmでも50年近くかかっているということですよね?想像もつかないような時間をかけて少しずつ成長していく、自然の力はやはりすごいです。知らなかったら気づかず素通りしてしまいそうですが、知ったうえで見てみるときっと感動するはず^^

15分もあればまわってしまえるけれど、何度も行ったり来たりできるので、世界的にも貴重な鍾乳石などをじっくりと見学することができますよ。気の遠くなるような長い年月をかけてできた鍾乳洞はとてもきれいで、ずっと見ていたくなると思います。

自然の力、神秘を目の当たりにしてみてください。大人も子どもも探検気分で楽しめるかも^^

藻岩山

札幌の観光名所でもある藻岩山は、中心街の南標高531mに位置し、石狩平野を一望に見下ろす眺望のすぐれた山です。
別名「インカルシペ」。アイヌ語で“いつもそこに上って眺望する所”という意味を持ちます。
この山の森林は、開拓使時代から保護され、大正4年に北海道庁の原生天然保存林になり、さらに大正10年にはに天然記念物に指定されました。
原始林といっても、原生林に近い天然林。シナノキ、エゾイタヤなどの広葉樹林が生え、サワシバ、オヒョウ、シウリザクラ、ヤマモミジ、アオダモなどが混生しています。昔は谷沿いにカツラ林がありましたが、今ではほとんど姿を消し、ミズナラ林やウダイカンバ林も、名残が見られるだけになっています。
春になると木々が芽吹くと同時に、野草が色彩豊かな花を咲かせ、夏にはセミの声を聞きながら、約450種の植物たちを散策できます。紅葉の秋にはムクドリが群れ、冬になるとフクロウが顔を見せるなど、心を豊かにしてくれる自然がいっぱいです。
藻岩山で発見・研究された植物や昆虫には、現在でも「モイワ」の名前が付けられているそうです。
「モイワの名がつく植物」 モイワナズナ、モイワシャジン、モイワラン
「モイワの名がつく昆虫 」 モイワウスバカゲロウ、モイワハバチ

また、天然記念物のクマゲラやエゾリス、キタキツネ、日本の国蝶のオオムラサキなども生息していますよ^^

南西斜面は数回の山火事にあい、原生林が焼失してしまいましたが、戦後は市民スキー場などに利用。現在は、ロープウエイや有料道路で山頂へアクセスでき、多くの観光客が訪れる人気スポットです。
山頂展望台からは、札幌の街並み、雄大な石狩平野や石狩湾の広がり、遠くには雄大な山々が連なる絶景を一望できます。
オレンジ色の宝石が輝いているような夜景は、ロマンチックな北海道三大夜景の1つ。煌びやかな札幌の夜景に、心の底から感動する最高のひとときが味わえます。

日本には100ヶ所を越える「恋人の聖地」がありますが、藻岩山もその1つ。2012年7月1日に「恋人の聖地サテライト」に認定されました。展望台には、「幸せの鐘」や永遠の愛を誓い合う「南京錠」が取り付けられ、プロポーズにふさわしいスポットとして大人気です。
南京錠に、ふたりの名前を記して取り付けると、そのカップルは絶対に別れないという伝説。幸せの鐘を鳴らし、永遠の愛を誓えば、きっと幸せな未来へと繋がっていくでしょう♡♡♡
昔と違って今の男子は、プロポーズにも特別の拘りがあって、なかなか見事な演出をするようですね。夜景は必須アイテム。是非、この藻岩山の夜景を見方に、男子諸君、頑張って下され!!

ユルリ島とモユルリ島(根室)

根室半島南側、陸からの距離は一番近い場所で約2.6kmの場所にふたつの小さな島が浮かんでいます。

正直、このふたつの島を紹介するかどうか少し考えてしまいました。
それは、どちらの島も特別な許可がない限り、上陸が許されていないのです。

まずは、貴重なユルリ島の映像を見て頂ます。

『幻の島 ユルリ島』03/撮影 岡田敦
http://youtu.be/2uEWW-aAE8c

撮影者の岡田敦氏は、“写真の芥川賞”とも言われる、木村伊兵衛写真賞を受賞した、世界でも注目される北海道稚内出身の写真家。

この映像は、島の環境及び動植物の調査・研究のための許可のもと、上陸して記録されたものなのですが、それを遥かに越えた物語の様なものを感じます。

“ユルリ”というのは、アイヌ語で「鵜のいる島」という意味である“ウリリ”が語源で、“モユルリ”は、「小さなユルリ」という意味だそうです。
どちらの島も、断崖40m程の高さがあり、無人島であることもあいまって、アイヌ語の語源通り、海鳥(北方系)の営巣地になっています。

どんな、海鳥がいるのかと言うと、エトピリカ・チシマガラスなどの絶滅危惧種であり稀少鳥類に指定されているもの。
エトピリカは、ハトよりも少し大きめで、黒いからだに、白い顔、その先のくちばしはオレンジ色、目の上の部分から眉毛のように白く長い羽があり、一目見ると忘れられないインパクトが特徴です。
また、チシマガラスの方は、シルエットは正に鵜!
艶のある黒い身体で、夏は目の辺りが赤っぽくなるため、英名では“red faced”と言われるそうです。
また、頭の前方と後方の二カ所が、とさかの様に伸びるところも特徴で、サザエさんヘアーを連想させます。

そして、映像にも映っていますが、一番気になるのは、ユルリ島にいる馬。
そもそも、戦後、稚内は昆布漁で大いに賑わい、ユルリ島は、昆布の干場として活用され始め、馬はその際の運搬用に持ち込まれたのです。
しかし、段々と島での馬の役割は薄らいでゆき、馬を連れ帰ったところで、漁師達は放牧する場所を持っておらず、島にはエサとなる草も豊富に茂っていた事から、馬を残して島を去ることになりました。

やがて、馬は野生化し、世代を重ね、多い時で30頭程の馬が生息していたそうです。

しかしながら、2014年2月の記録で確認された馬は6頭、すべてが雌馬。
そう遠くないうちに、ユルリ島から馬はいなくなります。

人の足跡を感じさせる馬の存在は、単なる無人島にはない“何か”を物語っている様な気がします。

気象条件がよければ、根室市昆布盛の高台から、ユルリ島の灯台に付近にいる馬を見る事が出来るそうです。
また、岡田敦氏による映像も定期的にYouTubeにアップされます。
物語の終わりを、温かく見守りたいですね。

石灰華ドーム(二股ラジウム温泉)

北海道の南端にほど近い、長万部町(おしゃまんべちょう)。
ここのラジウム温泉が凄い!

奥深いところにありながら、明治の頃から、湯治客(とうじきゃく)が訪れていたという有名な秘湯。
“ラジウム”と聞くと、なんだか有害なものを含んでいる棟な気がしますが、“ラジウム温泉”は<ラドン元素とトロン元素を一定量以上含む温泉>を意味しており、(難しい事を抜きで簡単に説明すると)全く危険ではありません!!
寧ろ、このラドンとトロンという成分により、昔から多くの人に健康をもたらしてくれているのです。
この二股ラジウム温泉は、温泉法に基づいても、放射能濃度が基準値よりも低いため、無論、放射能線にも該当していません。

源泉に含まれる石灰によりできた、石灰華ドームは、さながら“湯の華の親玉”という感じで、含まれている炭素カルシウムは95.75%。これは、天然カルシウムでは最大の含有率だそうで、文句無しの天然記念物に指定されています。

世界で同じものがあるのは、世界最古の国立公園「イエローストーン国立公園(アメリカ)」のマンモス温泉だけですが、あちらには源泉に脳炎を引き起こす危険性のあるアメーバいるということで、顔をつけたり、飲んだりする事は推奨されておらず、水着着用で入浴しなければなりません。
つまり、ゆったりと入浴が可能なのは、世界でも二股ラドン温泉ただひとつ!ということになります。

さて、どんな効果が期待できるのかと言うと、神経痛・リウマチ・通風・腰痛などなどありますが、ノイローゼにも効果があるというから驚き。
また、飲めば、腎臓病や消化器病、膀胱炎や尿結石などなど、枚挙にいとまがありません。

偶然の自然環境のお陰で、もたらされた二股ラジウム温泉は、秘湯ではありますが、最早知る人の多い温泉となり、2001年には施設の立て替え工事も行なわれました。
男女別々の内湯と、2つの混浴内湯、露天風呂は女性専用と混浴の2つがあり、
天然記念物の石灰華ドームを見ながら入浴できるのは、混浴の露天風呂。

混浴となると、若い女性にはハードルが高いですが、別に混浴しなくても効果は得られますし、もしかすると運良く誰もいないかもしれません。
何にしても、天然記念物を織りなす歴史のある貴重な温泉です。
わざわざ訪れる価値は十分あり!

【場所】〒049−3501北海道山越郡長万部町大峰32
【電話】01377−2−4383
【日帰り入浴】大人:1000円/小人:600円
【URL】http://www.futamata-onsen.com
(トップページの下の方で、体験談もアップされていますので参考にしてみて下さい)

昭和新山

北海道有珠郡壮瞥町にある『昭和新山』は支忽洞爺国立公園に含まれる火山で標高398メートルあります。 1943年12月、有珠山周辺で前兆地震が始まり、翌1944年1月に入ると震源は次第に有珠山東山麓に集中するようになりました。

麦畑や集落、道路、鉄道であったところの地盤が隆起し始め、4月にはもとの地面から16メートル隆起しましたが、4月中旬からは隆起の中心は北方のフカバ集落へと移り50メートルほど隆起しました。
6月23日フカバ集落西方の畑から水蒸気爆発が発生し、10月末までに十数回の大きな爆発を起こし7つもの火口を作りました。7月には火砕サージが発生して湖畔の防風林や家屋が焼失しました。

その後も地盤の隆起は続き、海抜250メートルほどの潜在ドームとなりました。12月初旬には潜在ドームから三角形の溶岩ドームが姿を現し、1945年9月までに海抜407メートルの『昭和新山』が誕生しました。
昭和新山は成長の過程で地中の粘土が熱で焼き付き、赤褐色の天然レンガに覆われています。

また、川原石が溶岩ドームの中腹で見つかるなど、もともとそこが畑であったことを示す多くの証拠を見つけることができます。地表の温度は現在でも高いところで300℃ほどあるため、植生はそれほど見ることができませんが、山頂部は噴火後の攪乱により独特の景観を形成しています。一方山麓部では噴火から60年以上が経過してドロノキの林を見ることができます。

2010年に撮影された『昭和新山』の映像です。

火山活動当時は第二次世界大戦中で、食料もなく、フィルム・紙・衣類にも事欠く中、誰一人として研究する学者もいませんでした。
そんな中、地元の郵便局長 三松正夫さんがその成長の詳細な観察記録を作成しました。これは後年、オスローで開かれた「万国火山会議」に提出され貴重な資料となり“ミマツダイヤグラム”と名付けられ、多くの専門家に絶賛されたのです。

さらに三松さんは世界的にも貴重な火山の徹底的な保護と、家と農場を失った住民の生活の支援のために、昭和21年、私財をなげうって民家から山になってしまったこの土地を買い取ったのです。
このため昭和新山は三松家の私有地でもあり、ニュージーランドのホワイト島等と同じく、世界でも珍しい私有地内にある火山となりました。1951年には国の天然記念物に指定され、1957年には特別天然記念物に指定されました。

国内でも「第一回北海道文化賞」を始め数々の賞を受け、その功績が讃えられた三松さんは昭和52年、生涯3度目の有珠山噴火を体験しその活動の終幕を待たず12月8日病にて没しました。
御年89歳で亡くなられた三松さんの、自然を愛する思いは昭和新山の麓に銅像として蘇り、この山をいつまでも守り続けてくくれることでしょう。

現在、昭和新山の山麓には、三松正夫記念館が建っており、三松正夫による観測記録などの資料類が展示されているほか、昭和新山山麓駅から登るロープウェイ、麓にはガラス館やたくさんのヒグマが見れるクマ牧場などたくさんの見所があるのも楽しみの一つです。温度低下と侵食などによって年々縮んでいる昭和新山。現在も火山活動が行われていますが20世紀で最も新しい火山の一つを見に行きましょう。

【昭和新山】 住所:〒052-0102 北海道有珠郡壮瞥町昭和新山 TEL/0142-66-2750

昭和新山と見守るように建つ三松正夫さんの銅像 http://www.town.sobetsu.lg.jp/kanko/midokoro/syowa_sinzan/shinzan.jpg

アポイ岳高山植物群落

アポイ岳は、北海道様似郡様似町かつ日高山脈支稜線西南端に位置し、一等三角点(点名「冬島」)で標高810メートルの山です。日本列島は氷河期にサハリン・千島列島・朝鮮半島と陸続きだったため、北方系の植物が南下していて気候が温暖になった時、その一部がアポイ岳一帯に取り残され長い年月を経て適応しました。

指定地域は、アポイ岳の五合目(350メートル)付近から山頂までの登山道周辺と、山頂部分を中心として北陵沿いのピンネシリ(958メートル)から南稜沿いに延長7キロメートルの南北にほぼ細長い範囲を合わせた359.9ヘクタールで道有林です。

地名の由来はアイヌ語の「アペ・オ・イ」(火のあるところ)の意味があります。山は「幌満橄欖岩」と呼ばれているかんらん岩でできており、岩石の風化が遅い上に、風化してできた土壌は風雨で移動しやすく堆積しにくいという特殊な自然体系となっていることから、1952年に高山植物帯が「アポイ岳高山植物郡落」として国の特別天然記念物に指定されました。
1981年には日高山脈襟裳国定公園の特別保護区となりました。標高が低いわりに特殊な岩体のため森林が発達せず、「蛇紋岩植物」が生育する高山植物の宝庫として有名です。

海岸からわずか4キロメートルにあるこの山では、夏に発生する海からの濃霧が日光を遮って気温を低下させる一方、冬は太平洋側の気候で積雪量が少なく、低い山にしては地温が下がる為、2,000メートル級の高山と同じような気象条件になります。

春のアポイ岳に咲く高山植物たちの映像です。皆さんは全ての花の名前がわかりますか?

道内の山では1,000メートル以上でないとハイマツ帯、つまり高山植物帯が出現せず、800メートル前後の山であればエゾマツ・ドトマツ林になるのが普通ですが、アポイ岳では五合目から高山植物が場所によっては300メートルくらいからハイマツ群落が現れます。
これは、寒冷な気候と貧弱な土壌の為、高木が育ちにくく通常の植生にはならないからで、特に500m付近の馬の背中から頂上に至る西尾根に高山植物郡が見られます。そこを中心にヒダカソウ・エゾコウゾリナ・エゾイヌノヒゲ・アポイアザミ・アポイカンバ・サマニオトギリなど固有種や多くの固有変種を含め、80種類以上の貴重な植物が確認されています。

そして、山麓から広葉樹林帯、針葉樹林帯、ダケカンバ帯、ハイマツ帯と移り変わっていくはずの所、九合目から頂上にかけてハイマツ帯からダケカンバ帯に逆戻りしています。強風の影響が弱まっている為などとされていますが、下草にスズラン・ミヤマエンレイソウなどの山麓部の植物を伴っていてとても謎深い山と言えるでしょう。

【アポイ岳高山植物群落】
住所:〒058-0003 北海道様似郡様似町冬島 TEL/0146-36-2521